正倉院宝物の文様をCG技術と日本画で復元・模写する試み

正倉院の宝物模写プロジェクト

宮内庁正倉院事務所(奈良市)は、東大寺の法要で使用されたと考えられる宝物の一つである丈の短い衣服「曝布彩絵半臂」の模写を行い、その成果を報道陣に公開した。この模写は、華やかな獅子や鳥の文様をCGと日本画の手法を用いて再現したものである。

半臂は横幅約80センチ、縦約60センチの大きさを持ち、前身頃と後ろ身頃の麻布には空想上の花「宝相華」をくわえる獅子やガチョウの文様が描かれている。この作品は、奈良時代の文化を感じさせる貴重な資料であり、模写作業は2024~25年度に行われた。

復元作業の詳細

模写作業では、鮮やかさを失った色彩を顕微鏡観察や蛍光撮影を通じて調査し、CGで作成した復元案を基に原寸大で紙に模写した。特に獅子の絵は、実物に近づけるために作成した麻布の上に描かれており、細部にわたるこだわりが感じられる。

名古屋造形大学の松浦直子客員教授(日本画模写)は、「正解のない製作で絵の具の選択にも気を使ったが、奈良時代の雰囲気が伝わるものになったのではないか」と語っている。このように、模写作業は単なる再現にとどまらず、歴史的な価値を持つ作品を現代に甦らせる試みである。

今後の展望

CG再現を担当した奈良県立大学の山田修教授(文化財学)は、「パターンだけでなく製作者の素晴らしい感性にも触れられた」と述べ、模写の意義を強調した。宮内庁正倉院事務所は、将来的にはこの模写作品を一般公開することも検討しているという。

このプロジェクトは、奈良時代の文化遺産を後世に伝える重要な役割を果たすものであり、今後の展開が期待される。

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