原発メンテナンス企業が農業に進出、敦賀での新たな挑戦
新たな挑戦を始めたFTEC
原発のメンテナンスを担う福井県敦賀市の企業「FTEC(エフテック)」は、廃炉後の将来を見据え、2022年から農産物販売などの新規事業に取り組んでいる。初年度に約600万円だった農業事業の売り上げは、2024年度には4千万円を超える見込みだ。同社の奥出利行社長(63)は、「農業分野を通して会社を持続させ、地域にも貢献したい」と意気込んでいる。
福井県には廃炉中の原発7基を含め、全国最多の15基の原発が立地している。FTECは、日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の運営支援を目的に1990年に設立され、これまでメンテナンス業務などを担ってきた。
もんじゅの廃炉と新規事業の必要性
しかし、もんじゅはトラブルが続き、2012年には大量の機器点検漏れが発覚した。フル出力での運転さえできずに、2016年には廃炉が決定し、2047年度の作業完了が見込まれている。2024年度に42億円だった同社のもんじゅ関連事業の売り上げも、廃炉作業が進むにつれ目減りが予想される。
奥出社長は、「会社の方針を考え直さないといけない」と、新規事業の開拓を模索している。農業分野の人手不足や高齢化などの地域課題を訴える社員の声を受けて、2022年に農業事業に着手した。
地域貢献を目指す農業事業
これまで、提携農家から買い取ったサツマイモなどの野菜を県内外の取引先に販売するほか、仕入れた野菜を県外の工場で加工し、漬物や焼酎といった商品も販売している。今後は販路拡大のほか、耕作放棄地などでの自社栽培も視野に入れ、2027年度に農業事業だけで1億5千万円の売り上げを目指す。
奥出社長は、「福井には知られていない農産物がたくさんある。全国に良さを広めたい」とし、「廃炉作業はいずれ終わる。民間企業なので利益を出しつつ、少しでも地域に役立てる会社でありたい」と語っている。