両陛下が描く「おもてなし」の真髄 料理と音楽で彩る宮中晩さん会の魅力

国賓が来日した際に催される宮中晩さん会は、最上級のおもてなしの舞台である。天皇皇后両陛下が主催し、皇居・宮殿で最も広い大食堂「豊明殿」では、皇族や首相などの政府要人、相手国ゆかりの人々が招かれ、華やかな雰囲気に包まれる。

友好親善のための工夫

両陛下は友好親善を深めるため、食事や音楽などに工夫を凝らして迎える。国賓は外務省の外国要人接遇で最上位の「客人」に当たり、平成の時代には41カ国から計63回招待された。しかし、天皇陛下の即位後は2019年5月のトランプ米大統領夫妻だけとなっている。新型コロナウイルス禍の影響が大きく、宮中晩さん会もそれ以来開かれていない。

晩さん会で振る舞われる食事は、国際儀礼などによりフランス料理が基本となる。メインには宗教的制約が少ない羊肉が選ばれることがあり、栃木県の御料牧場産の野菜も使用される。関係者によると、国賓の好みや宗教上の戒律を調査し、メニューを固める。内容を両陛下に伝え、最終的に決定されるという。

音楽と文化の交流

歓談の場に流れるのは、宮内庁楽部の演奏である。普段の雅楽からバイオリンやチェロなどに持ち替え、クラシックや相手国ゆかりの曲を奏でる。トランプ大統領夫妻の際には、米国民謡「峠の我が家」や映画「オズの魔法使」の劇中歌「虹の彼方に」が披露された。

海外賓客の接遇に両陛下の心遣いが表れる場面は晩さん会に限らない。2023年11月にはキルギスの大統領夫妻を招いた昼食会が開催され、前菜には手まりずしなどの和食が提供された。また、ベトナムの国家主席夫妻との昼食会では、江戸切子のグラスを使い、日本酒で乾杯した。

「日本文化に親しんでいただきたいという両陛下の発案で、いずれも初めての試み」と側近は明かす。今年3月には久々の国賓としてブラジルの大統領が来日し、宮中晩さん会が催される見込みである。側近は「豊富な海外経験を下地にして、両陛下が目指すおもてなしの形が今後も見られるだろう」と述べている。

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